仏壇を手放すにあたって気になることのひとつが「費用面」です。
魂抜きの儀式から仏壇の搬出、処分、仏具整理まで、仏壇じまいにはさまざまなコストが関わってきます。しかも、宗派や地域、仏壇のサイズや対応方法(業者か自力か)によって大きな差が出ることも少なくありません。
この記事では、仏壇じまいにかかる費用の内訳を一つひとつ整理しながら、ケース別の相場感や注意点も含めて、初めての方にもわかりやすく解説していきます。
仏壇じまいに必要な費用とは?

仏壇じまいに関わる費用は、主に以下の5つに分けられます。
費用項目 | 内容 | 相場 |
---|---|---|
魂抜き(閉眼供養)のお布施 | 僧侶による儀式の謝礼 | 10,000〜50,000円 |
仏壇本体の処分費用 | 搬出・回収・廃棄処分 | 5,000〜30,000円 |
仏具・位牌・遺影の処分 | 仏壇以外の付属品の整理費 | 0〜10,000円 |
出張費・運搬料 | 自宅から搬出する作業代 | 0〜10,000円 |
その他オプション | 梱包、合同供養、証明書など | 数千円〜 |
依頼先や地域によっては、これらがパック料金として一括で提示されることもあります。
魂抜き(閉眼供養)のお布施の目安
仏壇じまいで避けて通れないのが「魂抜き」儀式です。これは、仏壇に宿っているとされる“魂”を抜いて、感謝とお別れを伝えるための宗教的な儀式です。
お布施の金額に明確な決まりはありませんが、相場としては以下の通りです。
寺院との関係 | 相場の目安 | 備考 |
---|---|---|
檀家である | 10,000〜30,000円 | 通常の法要と同程度 |
一時的に依頼 | 20,000〜50,000円 | 出張費込みになることも |
葬儀社・仏壇店経由 | 25,000〜55,000円 | 業者手数料が含まれる |
「お気持ちで」と言われる場合が多いため、事前に他の法事と同等レベルで用意するのが無難です。
仏壇の処分費用:サイズと運び出し方で大きく変動
仏壇の処分費は、「サイズ」「材質」「搬出環境」により大きく変動します。
仏壇サイズ | 特徴 | 処分費用相場 |
---|---|---|
小型(上置き型) | 幅60cm以下・棚置きタイプ | 5,000〜10,000円 |
中型(台付き) | 高さ100〜130cm前後 | 10,000〜20,000円 |
大型(唐木仏壇など) | 幅100cm以上、重量あり | 20,000〜30,000円以上 |
また、以下のような追加費用が発生することもあります。
運搬状況によっては、見積もり後に数万円上乗せされることもあるため、現地見積もりの有無は必ず確認しましょう。
仏具・位牌・遺影などの処分費用と対応方法

仏壇本体以外にも、仏具や位牌、遺影などの整理も必要です。
これらは「供養対象」であるため、粗末に扱うことは避けたいところです。
項目 | 処分方法 | 相場 |
---|---|---|
位牌 | 魂抜き後に供養・寺院に納める | 無料〜5,000円 |
遺影 | 写真として保管 or お焚き上げ | 1,000〜3,000円 |
仏具(香炉、リン等) | 仏壇と一緒に引き取り | まとめて5,000〜10,000円 |
過去帳・御本尊 | 宗派により供養が必要 | 寺院に相談要 |
仏壇と同時に整理を依頼すると、割引や無料引き取り対象になる場合もあります。
また、自治体によっては「宗教用品は燃えるゴミに出せない」と定めているところもあるため、処分方法は必ず事前確認が必要です。
地域による費用差と自治体ルール
仏壇の処分方法や費用は、地域によって制度が異なります。特に、以下の点で差が出る傾向があります。
たとえば、東京都内では行政による仏壇の回収は不可で、業者に依頼が必要な自治体も。一方、地方では「燃えるゴミとして出せるが、魂抜きは必須」といったルールもあります。
仏壇処分は、地域のルールと供養の考え方の両方を理解して対応することが大切です。
自力対応と業者依頼の費用比較
仏壇じまいは自力で進めることも可能ですが、費用や手間の面で業者に依頼する場合と大きく異なります。
項目 | 自力で対応 | 業者に依頼 |
---|---|---|
魂抜き手配 | 寺院へ自分で連絡・調整 | 業者が提携寺院を手配するケースが多い |
搬出・運搬 | 家族や知人の協力が必要 | 専門スタッフが対応 |
仏壇の処分 | 粗大ごみ対応・運搬必要 | 回収〜処分まで一括対応可能 |
精神的負担 | 段取り・手配・不安が残る | 全体を任せられ安心感あり |
費用 | 安く抑えやすい(1〜3万円) | 一式で5〜10万円前後が目安 |
自力で対応する場合は費用を抑えられるメリットがありますが、「高齢で搬出が難しい」「誰も手伝ってくれる人がいない」「宗教的手順に不安がある」といった場合は、業者依頼が安心です。
パック料金のメリット・注意点

近年増えているのが、仏壇じまいのパックサービスです。以下のような内容がセットになっています。
メリット
注意点
「自宅で儀式をしてほしい」「家族が立ち会いたい」など、希望に応じて柔軟に対応してくれる業者を選びましょう。
見積もり比較と相場の目安
仏壇じまいは一社の見積もりだけで即決するのではなく、複数業者の比較が必須です。
以下のポイントに注目して見積書を比較しましょう。
見積もり取得時には、以下の情報を整理しておくとスムーズです。
- 仏壇のサイズ(高さ・幅・重さ)
- 設置場所(階数、エレベーターの有無)
- 希望する供養形式(自宅 or 寺院)
パック料金の目安
仏壇サイズ | パック費用目安 |
小型 | 30,000〜45,000円 |
中型 | 45,000〜60,000円 |
大型 | 60,000〜80,000円以上 |
相場より極端に安い場合は「魂抜きが省略されている」「処分方法が不明瞭」などのリスクもあるため、注意が必要です。
まとめ
仏壇じまいにかかる費用は一律ではなく、状況や選択肢によって大きく変動します。特に以下の要素が費用を左右します。
コストを抑えることも大切ですが、後悔しない仏壇じまいにするためには、安心できる対応と供養の丁寧さを重視すべきです。
費用を正しく把握し、無理のない形で心の整理ができる仏壇じまいを選びましょう。